めんたか@成長株ファンダ分析

決算短信の分析中心

3021 パシフィックネット 8/1ピックアップ銘柄

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特殊

 IT機器管理サービス展開、引取り回収やレンタルも

 

連結

ライフサイクルマネジメント49(13)、リマーケティング43(17)、コミュニケーションデバイス9(15)、他0(-202)

※数字は売上比率(利益)

 

直近決算発表(7/15・4Q)

○進捗状況(2019.6/1~2020.5/31)

 7/15 4Q 経常利益408百万円 108.0%

 

売上高4566百万円(9.3%増)

営業利益413百万円(33.2%増)

経常利益408百万円(29.3%増)

親会社株主に帰属する当期純利益289百万円(50.6%)


第4四半期は、コロナ禍の中においても、ストック収益であるITサブスクリプション事業は引き続き順調に拡大、増収・増益となった。
フロー収益であるITAD事業、コミュニケーション・デバイス事業は、第4四半期に最も業績が大きくなる季節要因があるが、コロナ禍により大きなマイナスの影響を受けた。しかしながら、ITAD事業は、減収とはなったが、過去からの収益性向上策、固定費削減効果が奏功し、第4四半期も増益を確保した。
コスト面では、中期的成長を重視し、第4四半期も積極投資を継続実施するとともに、4月には全従業員への特別賞与の支給(17百万円)、感染防止対策(6百万円)により原価・販管費が一時的に増加した。
この結果、第4四半期連結会計期間の業績は減収・減益となったが、通期業績では増収・増益を確保し、連結業績予想も達成した。

 

①ITサブスクリプション事業(PCサブスクリプション、ITサービス)

売上高 4Q 595,850千円(27.6%増)、通期 2,194,749千円(38.3%増)

利益 4Q 70,933千円(18.5%増)、通期 277,848千円(36.2%増)


ストック収益が大部分を占めるITサブスクリプション事業は、「SHIFT 2021」の最重要施策と位置付け、事業規模拡大へ向けた積極投資を行っている。
2020年1月のWindows 7サポート終了にり、Windows 10 への入れ替えが進んだ。また、テレワーク拡大の動きや、増大するセキュリティ脅威への対応等により、企業の情報システム部門が担うべき運用管理業務はさらに複雑化・高度化する一方、IT人材不足はますます深刻化している。
情報システム部門の課題解決や負担の軽減に対応するべく、IT機器の導入については、PCサブスクリプション(中長期レンタル)、運用・保守等の役務系ITサービス、通信サービス、子会社であるテクノアライアンス社との協業によるクラウドサービスの積極的な提案営業を実施するとともに、サブスクリプション型サービスの推進を行い、受注高・売上高ともに拡大した。
また、第4四半期については、コロナ禍拡大の影響から、受注済みであったイベントや研修用途の短期レンタルが軒並みキャンセルとなったが、テレワーク需要により、ノートPC、通信SIM、Wi-Fi等のPCサブスクリプション及び数か月~1年のレンタルが急拡大した。テレワーク需要を予想して事前に機器調達・在庫確保を行ったが、急増するご依頼に対応しきれないケースも発生した。
コスト面では、第4四半期も引き続き、IT人材の積極採用、社内再配置での増員、生産性向上とセキュリティ強化に資する設備投資、レンタル資産の在庫拡大等、積極投資を行った。レンタル開始に先行して取得したレンタル資産の減価償却費(原価)はさらに増加したが、好調なPCサブスクリプション受注とITサービスの拡大が寄与し、戦略投資のコストもカバーした結果、将来収益のストック、売上高とも好調に推移し、セグメント業績は第4四半期、通期とも増収・増益となった。

 

 ②ITAD事業(使用済みPC等のデータ消去・適正処理サービス)

売上高 4Q 573,028千円(6.6%減)、通期 2,080,564千円(7.2%減)

利益 4Q 167,956千円(33.1%増)、通期 531,479千円(25.6%増)


使用済みIT機器の引取回収・データ消去は、Windows 10 への入れ替え拡大に伴う排出増、収益性重視での案件受注、当社の高いセキュリティレベルに対する顧客評価、継続した生産性向上策等に加え、2019年12月のハードディスク転売事件を契機としたデータ消去依頼の急増により、コロナ禍による第4四半期の回収台数の減少を吸収し、売上高・利益とも増加した。
リユース・リサイクル販売は、2019年5月末のEC事業譲渡(撤退)、第4四半期の回収台数の減少による販売商材の減少により、売上高は前期比で減少したが、テクニカルセンターの生産性及び在庫回転率の向上などの諸施策の効果により、利益率は向上した。また、当社販売先の定期監査・選別を強化し、バーゼル条約や世界的な環境問題に対応した適正処理をさらに推進した。
この結果、ITAD事業トータルでのセグメント業績は、第4四半期・通期とも、減収・増益となった。

 

③コミュニケーション・デバイス事業(イヤホンガイド®の製造販売、レンタル、保守メンテナンス)

売上高 4Q 10,644千円(92.1%減)、通期 297,966千円(18.2%減)

利益 4Q -22,686千円(注)、通期 52,258千円(1.4%減)

注)前期の第4四半期会計期間のセグメント利益は29百万円、当第4四半期の前期比増減は-51百万円。


第3四半期までは、前期比大幅な増収増益で好調に推移していましたが、コロナ禍による観光需要の減少により、最も収益が拡大する予定であった第4四半期において売上高が大幅に減少した。
この結果、第4四半期は大幅な減収・営業損失となり、通期でも減収・減益となった。

 

 

○今後の見通し

中期経営計画「SHIFT 2021」の最終年度である2021年5月期は、一定の前提条件のもと、中期経営計画の計数目標どおり、連結売上高50億円、連結営業利益5億円、連結経常利益5億円を予想。第1四半期は、4月からのコロナ禍拡大、5月の緊急事態宣言の影響がITAD事業で残るが、第2四半期以降は概ね正常化すると想定している。

①ITサブスクリプション事業
増収・増益を想定。
・PCサブスクリプション
Windows 10 入れ替え需要は収束するが、定期的な入れ替え需要は存在し、かつ、テレワーク対応のノートPCの受注は拡大すると想定。

また、「所有から利用へ」の傾向が拡大し、サブスクリプション形式でのサービス利用の割合が今後さらに増加する。


・ITサービス
3~4月の緊急テレワーク対策時、企業の情報システム部門の負荷が極めて大きかったことから、PCの調達・管理から運用保守やヘルプデスクまで「まるごと」アウトソースしたいというニーズは高まっている。

上期はコロナ禍の影響から商談遅延するが、下期にかけて受注は拡大すると想定。

クラウドサービスもコロナ禍対策から受注が拡大すると想定。


・投資・コスト等
IT人材の積極採用、育成投資、業務やセンターIT化投資は前期よりも拡大を計画。

レンタル資産投資も拡大。


・貸倒発生リスク
信用力の高い顧客が大多数だが、一定の倒産リスクは存在することから、貸倒、貸倒引当金は一定程度見込む。


②ITAD事業
増収・増益を想定。
・回収、データ消去
緊急事態宣言による回収スケジュールの延期の影響が残るが、8月以降は正常化。

延期していた大規模な回収・データ消去案件も8月頃から開始予定。

ハードディスク転売事件を契機に高まったデータ消去需要は引き続き高水準で、売上高は前期よりも拡大。
(ただし、感染拡大や、緊急事態宣言の再発出等が起こると、回収スケジュール延期が発生)


リユース・リサイクル販売
前述の回収台数の拡大により、販売台数・販売収益も拡大。

安定市場である高価値品の国内市場での販売を強化するため、仕入・製品化を戦略的に進める予定。
(ただし、感染拡大で回収台数が減少すると、販売商材が減少し、売上高は影響を受ける)


・貸倒発生リスク
過去から厳格な与信管理を行い、当社の与信評価基準に応じた代金回収条件を設定するなどの対策を講じていることから貸倒発生は想定せず。


③コミュケーション・デバイス事業
減収・減益を想定しているが、日本旅行業協会のコロナ対策ガイドラインにより、国内ツアーでのイヤホンガイド®利用率の拡大が想定されるとともに、すでに第1四半期で大型案件の受注も決定しており、2020年第4四半期のような大幅な落ち込みは想定していない。ただし、コロナ禍が拡大し、今秋からの回復を想定している国内観光が打撃を受けたままの状態で推移すれば、当事業も大きな影響を受けるものと想定している。
・イヤホンガイド®の販売・レンタル
海外旅行での需要の回復は非常に厳しいが、日本旅行業協会ガイドライン(ツアーにおける三密回避のためにガイドレシーバーの利用を推奨)により、新たに国内ツアーでのイヤホンガイド®利用が拡大し、観光市場の回復に先行して販売は一部回復、レンタルは観光需要の回復状況次第。
また、建設現場や先端工場での見学、施設案内等、観光用途以外の三密回避のための問い合わせも増加傾向。


・保守・メンテナンス
観光需要の回復状況次第。当面は低水準を想定。


④投資・コスト等
中期経営計画「SHIFT 2021」に基づき、中期的成長を重視し、IT人材の積極採用、社内デジタルトランスフォーメーション推進のためのIT化投資・生産性向上投資はさらに拡大する予定。

レンタル資産の調達も、前期よりも拡大を計画。

M&Aは、ITサブスクリプションサービス拡充、収益多様化に資する案件は積極的に取り組む。

 

今後の株価予想

○経過

3月末を底(700円)に株価回復

4/14 3Q発表でさらに株価上昇(1600円)

その後6月中旬まで横ばい続く

4Q発表の期待感からか6月下旬から上昇(2000円)

7/15 4Q発表で翌日から暴落(1600円)

 

○チャート

3月末からのフィボナッジで61.8%タッチしている

ダブルトップをつけている

1500円~2000円のボックス

まとめ

・コミュニケーションデバイス事業ではコロナで大打撃を受けるが、柱のサブスク事業が売り上げ利益共に拡大している。リマーケティング事業はコロナの影響受け売上減少するが回復する見通し

・コミュニケーションデバイスの割合少ないことから、来期は順調に事業を拡大すると考えられる

 

○結論

 しばらくの間1500円~2000円のボックスで推移するか、外的要因で下げるも、中長期的には上昇すると予想する。